バーコードとは、商品や物の名前、番号といった情報を、太さの異なる黒い線と白いすき間のパターンで表現したものです。この白黒の組み合わせは、数字や文字に変換できるようになっており、専用の機械(スキャナー)で読み取ることで、商品が何であるかをすばやく特定できる仕組みになっています。
この技術は、1949年にアメリカで発明されました。当初のバーコードは円形で、印刷や読み取りの精度が低かったため、実用化には時間がかかりました。やがて、より効率的な「縦の線」で構成された現在のバーコードの形へと進化していきました。
1973年には、アメリカの全米食品チェーン協会が**「UPC(Universal Product Code)」という共通のコード体系を採用**し、商品識別の標準化が進みます。そして翌年の1974年6月26日、オハイオ州のスーパーマーケットで、UPCコードが印刷されたチューインガムが世界で初めてスキャナーで読み取られました。発明から実用化までに長い年月を要したのは、バーコードを正確に読み取るための技術の開発に時間がかかったためです。
日本では1980年代から、コンビニエンスストアやスーパーマーケットを中心にバーコードの導入が広まりました。また、「JANコード(Japanese Article Number)」という日本独自の標準も整備され、国内で流通する商品の多くにバーコードが表示されるようになりました。
その後、バーコード技術はさらに進化し、現在では「QRコード」のような2次元バーコードも普及しています。これにより、より多くの情報を記録できるようになり、スマートフォンなどで簡単に読み取れるようになりました。QRコードは電子チケット、キャッシュレス決済、イベント入場管理など、さまざまな場面で活用されています。
SCM(サプライチェーン・マネジメント)の視点から見ると、バーコードは業務の効率化に欠かせない技術です。スキャンするだけで正確に商品情報を把握できるため、作業のスピードが上がり、人為的ミスを大きく減らすことができます。また、バーコードを用いることで商品の流れを追跡する「トレーサビリティ」が実現できるため、品質管理や不良品対応にも大きな効果を発揮します。バーコードは、現代の流通や生産の現場を支える重要なインフラのひとつなのです。
