クローズドループ・サプライチェーン

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クローズドループ・サプライチェーン(Closed-Loop Supply Chain)とは、販売した製品が使われた後、再びサプライチェーンに戻されて再利用されることにより、サプライチェーン全体が循環する仕組みを指します。これは、製品を生産・出荷し、消費者に届けるまでの「フォワード・ロジスティクス(順物流)」に加えて、使用済み製品を回収し、再利用・再製造・リサイクルといった工程を取り込む「リバース・ロジスティクス(逆物流)」を一体化させた販売戦略です。たとえば、スマートフォンの下取り再販売や、プリンターのカートリッジ回収、家電の買い替え時の旧製品の引き取りサービスなどが代表的な例です。

このような仕組みを導入することで、企業は複数のメリットを享受できます。まず挙げられるのは、環境配慮型の取り組みとしてのブランド価値の向上です。近年では、環境への責任を果たす企業活動が、消費者にとって魅力的な購買動機となっており、「エコに貢献する企業」というイメージは、企業への信頼感やファンの増加をもたらします。次に重要なのが、顧客との関係性を深める効果です。商品を購入した後にも企業とつながりが続くことで、リピート購入や新商品への買い替えを促すきっかけになります。下取りやポイント還元といった制度を通じて、顧客との継続的な接点を確保することができるのです。

さらに見逃せないのが、資源の有効活用によるコスト削減効果です。使用済み製品から得られる部品や素材を再利用することで、原材料の調達コストや生産コストの削減が可能になります。また、廃棄物処理や環境対応のための費用を抑えられる点も、経営的な大きな利点です。

このように、クローズドループ・サプライチェーンは環境配慮の枠を超え、企業の販売活動に新たな付加価値を生む戦略的な取り組みとなっています。製品を「売ること」だけでなく、その後の「使われ方」や「戻り方」まで見据えることにより、SCMの役割は供給の最適化から顧客価値の最大化へと進化しているのです。

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