植物の栽培(汎用技術)

« Back to Glossary Index

平成30年版情報通信白書で示された汎用技術(GPT)の一つである「植物の栽培」について簡潔に解説します。

「植物の栽培」は、約9,000〜8,000年前に人類が狩猟採集から定住生活へと移行し、特定の植物を意図的に育て始めたことに始まります。これは**人類史最大の転換点「新石器革命」**です。

栽培化により、食料が安定供給されるようになり、人口は爆発的に増加しました。紀元前には数百万だった人口が、紀元1年には2億人以上、現在は80億人近くに達し、狩猟採集では到底支えきれない規模になりました。

人口増加と食料生産の安定は、社会を複雑化させ、分業を促進しました。食料生産に直接関わらない人々が増え、都市が形成され、国家が誕生しました。

初期に栽培が始まった主な品種は、肥沃な三日月地帯の小麦や大麦(約1万年前)、そして中国長江流域の(約9,000年前)です。

一方で、定住生活は感染症の拡大や土地・資源をめぐる争いの原因にもなりました。さらに、小麦などの栽培は重労働を伴い、まるで「人類が小麦の奴隷になった」かのような見方も存在します。

分業の発達と生産・消費の地理的・時間的分離は、現代のサプライチェーン・マネジメントの始まりとも言えるでしょう。植物の栽培は、人類の社会構造、経済、そして文明の発展全てを可能にした、根源的な汎用技術なのです。

« Back to Glossary Index

投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ: