現代の消費者は多くの選択肢を持っており、一度でも品質の悪い製品に当たれば「もうこの店では買わない」と判断することが一般的です。さらに、SNSの普及により、不満の声が広まりブランドイメージが損なわれるリスクも増大しています。このような状況下で、品質を一定水準以上に保つことは企業の生命線であり、SCM(サプライチェーン・マネジメント)においても重要な課題です。
品質を守るための取り組みには、「品質管理(QC: Quality Control)」と「品質保証(QA: Quality Assurance)」の2つがあります。それぞれの役割は異なり、適切な使い分けが必要です。
「品質管理(QC)」は、製造や物流の現場レベルで行われる短期的な品質維持の活動を指します。具体的には、製品やプロセスを目視や測定で検査し、不良品が出荷されないようにする取り組みです。例えば、生産ラインの正常稼働を監視したり、完成品の寸法や仕上がりを確認することで品質を確保します。QCは、現場での問題発見とその解決を目的とした実行的な活動です。
一方、「品質保証(QA)」は、中長期的な視点で、品質を維持するための仕組みやプロセスを整える全社的な取り組みです。具体的には、品質マニュアルの作成や従業員教育、設備投資、品質基準の策定といった活動が含まれます。QAは、そもそも不良が発生しない体制を整備する「予防的な取り組み」と言えます。
これら2つの活動は相互に補完し合うものであり、どちらが欠けても品質の維持や顧客満足度の向上は困難です。QCとQAを同じ部署やチームが兼任するのは非効率であり、可能な限り役割を分け、それぞれが専門性を活かして取り組む体制を整えることが効果的です。
現代の消費者は品質に敏感で、製品やサービスの品質が企業の競争力に直結します。QCとQAを適切に活用し、顧客満足度を高めることが、ビジネスの重要な課題といえます。
