安全在庫とは、発注量を決める際に、様々なトラブルを想定して余分にもつ在庫のことです。
安全在庫は、「需要の変動」「生産や配送の遅れ・トラブル」「在庫差異」など、大きく3つの対応のために必要となります。
①需要変動への対応
将来の需要の予測を当てることは至難の業です。既存の商品であっても、競合の状況や景気の動向、自社の他の製品や今後の新商品の販売動向によって左右されます。気温や天気、災害の状況によっても変わってきます。さらに、新規商品や季節商品であればさらに予測を当てるのは難しくなります。
このように、需要は変動する、予測は当たらないということを念頭に置けば、欠品をしないためには「安全在庫」という余力を持たせることが必要になります。
②生産や配送の遅れへの対応
もし需要予測が当たったとしても、生産や配送が遅れた場合には欠品してしまいます。そして生産や配送を必ず計画通りに行うことは絶対に保証できるものではありません。災害や事故・急な生産の割り込みなどを完璧に避ける方法がないからです。
③在庫差異への対応
発注量を決める際には、手持ちや移送中の「在庫」量を考慮する必要があります。現在在庫が1年分あるのに、1年分の発注量を計算してしまえば2年分になってしまいます。
なので、在庫が正確でなければ発注量も適正になりません。しかし、在庫数を正確に完璧に把握するということは、文字にすると簡単ですが、非常に難しいかだいでもあります。棚卸で在庫をカウントするにしても、数え間違いや入力間違いが発生してしまうことはあり得ます。
そして、在庫量が間違うと、発注量もその分間違ってしまうことになりますので、もし安全在庫がなければそれで欠品をしてしまう可能性があります。
上記3つの場合に備えて、安全在庫はかならず発注量計算に含める必要があります。
ただし、もちろん余分な在庫を持つことは、保管料などのコスト増、保管スペースの圧迫で作業性低下、キャッシュフローの悪化など、経営への悪影響があります。安全在庫は可能な限り少なくする必要があり、そこが在庫管理者の腕の見せ所となります。
