貿易金融(Trade Finance)は、海外との取引をする際に、資金のやりくりや支払いを助ける仕組みです。国際取引では、商品を届けた後にお金が支払われるまで時間がかかることが多いので、その間に資金不足が起きないようにサポートします。
サポートには、輸出者に対する支援と、輸入者に対する支援の両方があります。
貿易金融の仕組み
輸出金融:輸出者をサポートする金融
- つなぎ金融 輸出の契約が結ばれる前に、商品の生産や準備をするために必要なお金を貸してくれる仕組みです。特に農産物や水産物などの取引でよく使われます。
- 輸出前貸金融 輸出契約が結ばれた後、出荷準備に必要なお金を銀行から借りる仕組みです。日本銀行がサポートする特別な制度や、為替銀行の融資が活用されます。
- 輸出後金融 輸出品を船に積んだ後、輸出業者がすぐに代金を受け取れるように銀行が資金を用意します。銀行は、手形(将来お金を受け取れる約束)を買い取ることでお金を前払いします。
輸入金融:輸入者をサポートする金融
- 輸入ユーザンス 輸入した商品を売って得たお金で支払いをするまでの間、支払いを待ってもらう仕組みです。
- シッパーズユーザンス: 輸出業者が支払いを待ってくれる場合。
- 銀行ユーザンス: 銀行が支払いを待ってくれる場合。
- はね返り融資 輸入品を売った後も代金を回収できない場合、銀行が追加で資金を貸してくれる仕組みです。
その他の金融サービス
- 信用状(Letter of Credit)銀行が、輸出業者に「ちゃんとお金を支払いますよ」と保証してくれる仕組み。取引の信頼性がアップします。
- 保証状の発行 銀行が、輸出入に関するリスクをカバーする保証を提供します。
- 長期金融 船や設備など大きなプロジェクトのための資金を、長期間にわたって貸す仕組みです。
日本の貿易金融の特徴
日本では、戦後に輸出を増やすための特別な支援制度が作られました。日本銀行や為替銀行が、低い金利や優遇条件でお金を貸してくれる制度金融を利用し、多くの輸出業者をサポートしてきました。これが日本の経済成長を支える重要な役割を果たしました。
結論
貿易金融は、海外取引で発生する「支払いの遅れ」や「資金不足」を解決するための大切な仕組みです。この仕組みを使うことで、輸出入に関わる企業は安心して取引を行うことができ、国際市場でビジネスを成長させることが可能になります。
